草冠に路と一文字で書く漢字「蕗」の読み方、使い方、意味等を解説!

草冠に路と一文字で書く漢字「蕗」

くさかんむりのつく漢字の多くは植物に関係があります。

くさかんむりに路と書く「蕗」も、身近な植物を意味する漢字です。

本稿では「蕗」の読み方や意味、「蕗」にまつわる俳句などについてお話します。

「蕗」の基本情報

「蕗」の構成と読み方は以下の通りです。

漢字
部首 艸(くさかんむり)
音読み
訓読み ふき

「蕗」は訓読みで「ふき」と読みます。

誰もが知っている山菜の「フキノトウ」です。

音読みの「ロ」を用いることはほとんどなく、せいぜいツルムラサキを意味する「菎蕗(コンロ)」くらいのものです。

このほか、中国では甘草の別名としても「蕗」を使いますが、「蕗」を「フキノトウ」以外の意味で使うことは珍しいので、まずは「蕗=フキノトウ」と考えておけば問題ありません。

「蕗」と山頭火

五七五の形や季語にとらわれない自由律俳句で有名な種田山頭火の句には、「蕗」を詠んだものがたくさんあります。

山頭火は行乞(ぎょうこつ、食べ物の施しを受けながら旅する行)をしたことでも知られます。

行乞は基本的に無一文で旅を続けるため、満足な食事を摂れないこともしばしばです。

山を歩けば人家がなかなか見つからず、食べ物をもらえません。

山菜や木の実を採って食べることも多く、山頭火は蕗をよく食べたようです。

行乞中の山頭火にとって、蕗は非常に身近な存在でした。

蕗を詠んだ山頭火の句には、蕗を見かけたら一句湧いてくるといった雰囲気があります。

  • あるけば蕗のとう
  • ひつそり蕗のとうここで休まう

また、ずいぶんと蕗を食べたのではないかと思わせる句も多いです。

  • いつも出てくる蕗のとう出てきてゐる
  • 一つあると蕗のとう二つ三つ
  • 蕗のとうことしもここに蕗のとう

時には、蕗しか食べられないこともあったようです。

  • けふは蕗をつみ蕗をたべ
  • 山ふかく蕗のとうなら咲いてゐる

行乞しながら書いた『行乞記』にも、

「味噌も醤油もなくなつてしまつた、むろん銭はない、今日は蕗、紫蘇、らつきよう、梅干、唐辛、焼塩、――そんなものばかり食べた」

といった内容が見られます。

しかし、山頭火が蕗にうんざりしていたかといえば、そんなことはありません。

『行乞記』を読むと、むしろ蕗は好物であったことが分かります。

「ふらん草のおひたし、山蕗の甘煮、蕨の味噌汁、みんなおいしかつた、おいしく食べてぐつすり寝た」

「蕗の佃煮をこしらへる、私の好物である」

「蕗を煮る、いい香気だ、青紫蘇のにほひもいい」

もっとも、山頭火にとって蕗は単なる好物ではなかったようです。

山頭火の随筆には、お酒や漬物などの好物を記したものがありますが、蕗は不思議なほど随筆に出てきません。

山頭火にとって蕗は単なる好物ではなく、どこか思想的なものと捉えていたのではないかと思われます。

とりわけ、蕗の苦さに特別な感情を抱いていたようで、俳句では

ほろにがさもふるさとの蕗のとう

などと詠んでいるほか、『行乞記』にも

「これでをはりの蕗を採つて来て佃煮にした、蕗のほろにがさには日本的老心といつたやうな味がある」

などと書いています。

まとめ

本稿では「蕗」の読み方と意味に加えて、種田山頭火の俳句によってたくさんの「蕗」に触れました。

漢字一文字の「蕗」ではなく、俳人・俳句における「蕗」で見ていくことによって、生命のかよった「蕗」に触れることができます。

また、なぜ山頭火の句には「蕗」が多いのかを考えると、山頭火の歩みや思想も垣間見ることができ、非常に興味深いです。

漢字を学ぶとき、何度も書きつけたり、暗記カードを使ったりして暗記するだけならば、無味乾燥で何の面白味もありません。

短歌や俳句、漢詩などと絡めて学んでほしいと思います。

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