白に告と書くと「皓」の字になります。
あまり馴染みがない人も多いのではないでしょうか。
本稿では、「皓」の読み方や意味、実際の用例を紹介していきます。
「皓」の基本情報
「皓」の基本情報は、以下の通りです。
漢字 | 皓 |
---|---|
部首 | 白(しろへん) |
音読み | コウ・ゴウ |
訓読み | しろ-い |
「皓」は「コウ」と読みます。
白いことを意味する漢字です。
ただし、「皓」の白さは以下のように特別な白さを持っていることに留意する必要があります。
白い光を意味する漢字
中国最古の語釈辞典である『爾雅(じが)』では、「皓」を「光なり」と述べています。
このため、「皓」の意味する白色は絵の具のような単純な白色ではなく、月光のような白さであると考えられています。
しかし、月光には「皎(コウ)」の漢字を使うため、月光の白さを強調するものではなく、月光のように透き通った、清い白さを強調する意味でしょう。
古来、月明かりは清浄なものとされており、月明かりに晒すことで祭具などを浄化する文化もありました。
したがって、「皓」の意味する白さは月光をイメージするとより的確です。
「皓」の白さは「清らか」「明らか」などの意味にも通じるため、身の潔白や精神の清浄、美人などの意味にも用いられ、漢詩などでもよく使われます。
身の潔白を表す「皓」
「皓」の意味を深く知るには、漢詩の用例を見るのがよいでしょう。
ひとつ紹介してみます。
楚の国で編纂された詩集『楚辞』に「漁父(ぎょほ)」という詩があります。
王のために諫言するも受け入れられず、放逐された政治家・屈原と漁夫の問答を詩にしたものです。
屈原は放逐された理由を漁夫に語って言います。
世を挙げて皆濁れるに、我独り清し。衆人(しゅうじん)皆酔へるに、我独り醒めり。是を以て放たれたり。
(世間は濁っている中、私ひとりだけは清かった。人は皆酔っぱらっている中、私ひとりだけは醒めていた。だから放逐されたのだ)
そして、「皓」を用いて以下のように嘆きます。
寧(むし)ろ湘流(しょうりゅう)に趣きて、江魚(こうぎょ)の腹中に葬られるとも、安(いづく)んぞ能(よ)く皓皓(こうこう)の白きを以て、世俗の塵埃(じんあい)を蒙(こうむ)らんや。
(湘水の流れに身を投じて魚の餌食になったとて、どうして潔白なこの私が世俗の塵を受けられようか[世俗の塵にまみれて潔白を失うくらいならば、川に身を投げて魚の餌になったほうがマシだ])
まとめ
我が身を顧みずに諫言を続け、追放されてしまった屈原。
「皓」は、彼の心のように純粋で清らかな白さを意味するのです。
このようなイメージを持っておくと、「皓」のニュアンスをつかみやすいことと思います。