草冠に可と一文字で書く漢字「苛」の読み方、使い方、意味等を解説!

草冠に可と一文字で書く漢字「苛」

くさかんむりの下に可をつけると「苛」という漢字になります。

あまり馴染みがないと感じる人も多いかもしれません。

それもそのはず、「苛」は平成23年から常用漢字に加えられた漢字で、それ以前に義務教育を終えた人には馴染みが薄いのです。

今や知っていて当たり前の漢字になった「苛」を、この機会に学んでおきましょう。

「苛」の基本情報

「苛」の基本情報は、以下の通りです。

漢字
部首 艸(くさかんむり)
音読み
訓読み いじ-める

「苛」は、くさかんむりに可と書きます。

この可は「カ」の音を意味する声符であり、特に意味はありません。

後漢に編纂された説文には、「苛」を「小艸(しょうそう)なり」と説明しています。

艸は草ですから、「苛」は本来「小さな草」を意味する漢字です。

「苛」の発展的な意味

しかし、「苛」は一本の小さな草を意味するのではなく、小さな草が無数に生えている様子を表しています。

整備されていない土地には、小さな雑草がたくさん生えて乱れた状態になります。

ここから、「苛」は単に小さな草を意味するだけではなく、「乱れている」「わずらわしい」といった意味も持つようになりました。

さらに、乱れた状況、無秩序な状態では悪がはびこります。

ルールがないため、一部のずるがしこい人が力をつけ、その他大勢をひどく苦しめます。

ここから生じたのが、「ひどい」「むごい」の意味であり、

・苛政(かせい)・・・無秩序で乱れており、民衆が苦しめられている政治

・苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)・・・民衆から税金を厳しく取り立てること

といった熟語もできました。

日本語用法の「苛」

なお、「苛」といえば「いじめる」の読みを思い浮かべる人もいるでしょうが、これは日本語用法です。

とはいえ、民衆をいじめるような政治にも使われているため、中国と日本での用法の違いはさほど気にしなくて良いでしょう。

虎よりも怖い「苛」

「苛」のイメージをより的確に知るためには、古代中国の「苛政」がどのようなものであったかを知るのが分かりやすいです。

五経のひとつである『礼記』に、「苛政」の言葉が出てきます。

虎による被害がひどく、民衆が苦しんでいる土地がありました。

その土地の婦人に、孔子が「なぜほかの土地に移らないのだ?」と聞くと、婦人は「苛政なければなり(政治がひどくないからです)」と答えました。

それを聞いて、孔子が弟子に語った言葉が、かの有名な

“苛政は虎よりも猛(たけ)し”

(むごい政治は、民衆を苦しめて多くの損害をもたらす。虎よりもずっと恐ろしい)

という言葉です。

虎の襲撃におびえていたほうが、悪い政治よりマシだと言うのです。

勇猛な男性が「虎くらいへっちゃらだ」というならまだ分かりますが、婦人の言葉であることを考えると、苛政というものがいかに恐れられていたかよくわかります。

まとめ

本稿では「苛」について解説しました。

今では常用漢字になっているため、読めなかったり、意味が分からなかったりすると恥をかくことがあるかもしれません。

読み方や意味、「苛政」の出典なども含めて学び、常用漢字として学んだ人より一段高い知識を身に着けておくと良いでしょう。

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