草冠に夫と一文字で書く漢字「芙」の読み方、使い方、意味等を解説!

草冠に夫と一文字で書く漢字「芙」

くさかんむりの下に夫と書く「芙」、この漢字の読みや意味はお分かりでしょうか。

「芙」の一字だけでは、なかなか理解しづらいかもしれません。

本稿では、「芙」の読みや意味について広く解説していきます。

「芙」の基本情報

「芙」の基本情報は、以下の通りです。

漢字
部首 艸(くさかんむり)
音読み
訓読み はす

訓読みの通り、「芙」は「はす」とも読みます。

つまり、蓮の美称です。

後漢の漢字字典である説文にも「芙蓉(ふよう=蓮)なり」と書かれており、蓮を意味する漢字であることが分かります。

もっとも、「芙」の一字だけで用いられることは基本的にありません。

蓮を意味する漢字も「芙+蓉(芙も蓉も蓮を意味する漢字)」で構成されており、古典などでの用法もほとんど「芙蓉」の形です。

したがって、「芙」は「芙蓉」として覚えておくのが一番です。

芙蓉に対するインドと中国の違い

蓮を意味する「芙」を知るうえで、インドと中国の違いを知るのが参考になります。

インドにおける芙蓉

蓮といえば、インドのイメージがあるかもしれません。

蓮はインド原産ですし、お釈迦様が蓮花に座っている仏像などもイメージに浮かびます。

また、仏教では蓮を「泥の中から美しい花を咲かせる(修行者も、汚れた世間のなかで清浄な蓮のようにありたい)」との意味で大切に扱っています。

インドでは蓮を「智慧」「慈悲」「廉潔」の象徴とみなす傾向があるのです。

中国における芙蓉

一方、中国では芙蓉を単に美しいものとして捉えます。

例えば、「芙蓉」といえば蓮を意味するだけではなく、美人に対する最上級の誉め言葉でもあります。

また、唐代の名剣に「芙蓉剣(ふようけん)」というものがありますが、芙蓉剣という名称は「水中から出てきたばかりの蓮のように美しい光をたたえている」ことが由来です。

唐詩選における「芙」

日本でも、侠客といわれる人々は伝統的に「男伊達」を好み、派手な装飾の武具や衣装を身に着けます。

同様に、古代中国においても、いわゆる「遊侠の徒」は派手を好んだらしく、唐代には侠客に間で芙蓉剣を身に着けることが流行っていました。

唐詩選に、唐代の長安の繁栄ぶりを歌った「長安古意(ちょうあんこい)」という詩があります。

その詩に、「芙蓉剣」が出てきます。

俱邀侠客芙蓉剣  俱(とも)に邀(むか)ふ侠客芙蓉の剣

共宿娼家東李蹊  共に宿る娼家(しょうか)東李(とうり)の蹊(けい)

(芙蓉剣を帯びた侠客たちが誘い合い、桃やすももの花が咲く小道(東李)を歩いて娼家へゆく)

栄華を極めた長安で、多くの若者が道をはずれて侠客になり、放蕩にふけっている様子を嘆いた詩です。

このように、インドと中国では「芙」に対する印象が大きく異なります。

「芙=美しいもの」とイメージしておけば、おおむね間違いありません。

まとめ

本稿では、「芙」の読み方や意味、用法をお伝えしました。

中国では主に「美しいもの」に使われることを知っておけば、今後「芙蓉」を用いた固有名詞などに出会った際には適切に解釈できること思います。

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