囗(くにがまえ)に員と書いて「圓」と書くこの字、何と読むか分かりますか?
普段使うことのない漢字なので、すぐに答えられない方もいらっしゃるでしょう。
今回はこの珍しい漢字「圓」について解説していきます。
目次
圓(囗員)の解説
漢字 | 圓 |
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部首 | 囗(くにがまえ) |
音読み | エン |
訓読み | まる-い・つぶら-か・まど-か・まろ-やか |
漢字一文字単体では「①まる。まるい」「②満ちている。まどか。なめらか。おだやか」「③あたり一帯」「④つぶら。つぶらか。まるくてかわいい」「⑤えん。日本の貨幣の単位」という意味があります。③と⑤は日本固有の意味です。
意味からも分かる通り、圓とは円の旧字体(第二次世界大戦以前に慣用されていた字体のこと。大戦後、国が漢字の表記を簡略化しようと定めたものが新字体)です。
圓(囗員)の使用例
圓には様々な使い方があります。熟語、四字熟語、人名の3通りに分けて解説します。
熟語
圓(円)を含む熟語は数多くあり、その数は40個以上になります。今回は一文字が持つ意味ごとに代表的な熟語を紹介します。
①の意味
「円周(エンシュウ)」「円盤(エンバン)」「円陣(エンジン)」など
- 円周:①円を形づくる線。円のまわり、②円を描くようにして動くこと
- 円盤:①円形で平たい形のもの、②円盤投げに用いる、中心と縁に金属をはめ込んだ木製のまるい盤、③レコード盤
- 円陣:①円形をなす陣立て、②人が集まって円形に並ぶこと
これらの熟語は図形としての円の形そのものの意味を持ちます。
②の意味
「円滑」「円熟」「円満」
- 円滑:①物事が滞らず、すらすら運ぶこと。また、そのさま、②かどばらず滑らかなこと。また、そのさま
- 円熟:人格・知識・技術などが円満に発達し、豊かな内容をもっていること
- 円満:①物事のようすや人柄などが、調和がとれていて穏やかなこと。また、そのさま、②まるく満ちていること。特に、顔などが豊かで福々しいこと。また、そのさま、③完全に満ち足りていること。すべて備わっていること。また、そのさま、④功徳などが十分に満ち足りること。願いなどが十分に満たされること
これらの熟語は、図形としての円の形から特に「角のなさ」を強調した意味を持ちます。
③の意味
「一円」
- 一円:①ある地域全体。一帯。全域、②日本の貨幣単位、③残らず。すべて、④少しも。まったく
この熟語は、特定の範囲を示す図形として円の形を利用し、その内側に含まれる部分を示した意味を持ちます。
⑤の意味
「円安」「円高」
- 円安:外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が低いこと
- 円高:外国為替相場で、円貨が外国通貨に対して相対的に価値が高いこと
これらの熟語は、貨幣単位としての意味を持っています。
四字熟語
圓(円)の字を含む四字熟語は23個あります。残念ながらその全てを紹介することはできませんが、使ったらかっこよさそうなものを2つピックアップしてご紹介します。
円木警枕(エンボクケイチン)
苦労しながらも力を尽くして勉学に励むことを意味します。枕を転がりやすい丸太にすることで、深く眠り込むと目が覚めるようにして、寝る間を惜しんで勉学に励むということからこの意味になりました。
水随方円(スイズイホウエン)
民の善悪は政治を行うものによって感化されるということ、また人は環境や人間関係次第で、善悪のどちらにも感化されるということを意味します。水は容器の形に従って、四角にでも円にでもなることからこの意味になりました。
人名
圓は円の旧字体のため、古くから名字や名前に使うことのできた漢字です。音訓読み以外に、人名として使う際の読み方「人名訓」があり、圓の人名訓には「かず」「のぶ」「まどか」「みつ」の読みがあります。他一字と合わせて「圓夫(かずお・のぶお・みつお)」「圓子(まずこ・のぶこ・みつこ・まるこ)」と名付けたり、単体で「圓(まどか)」と名付けたりできる、男女ともに使うことのできる漢字です。
圓の字が付く歴史上の人物には、昭和から平成にかけて活動した思想家・源了圓がいます。
圓にまつわる豆知識
圓はもともと東アジアの各国において使用されている通貨の単位でした。日本では円に置き換わりましたが、中華人民共和国では「圆」と簡略化されました。韓国のウォンは過去には漢字で「圓」と書きましたが、現在はハングルで書きます。台湾・香港・マカオでは現在でも貨幣面に圓の字を用いています。