「末」の漢字にくさかんむりを載せると、「茉」という漢字になります。しばしば、「茉」を使った名前を目にすることがありますが、「茉」そのものの読み方や使い方、意味はあまり知られていません。
本稿では、「茉」について詳しく解説していきます。
「茉」の解説
「茉」の基本情報は、以下の通りです。
漢字 | 茉 |
---|---|
部首 | 艸(くさかんむり) |
音読み | マツ バツ |
訓読み | まつり |
この基本情報だけでは、よくわからないはずです。それもそのはず、「茉」は基本的に一文字だけで使うことはないからです。
「茉」の成り立ち
「茉」は、「くさかんむり」と「末」を組み合わせた漢字です。しかし、この「末」は「茉」に「マツ」の音を与えるためのもので、「茉」の一部に「末」そのものの意味を含むわけではありません。
ジャスミンの一種
「茉」は、「茉莉」や「茉莉花」などの熟語の一部として使われます。「茉莉」も「茉莉花」も、どちらも「まつりか」と読みます。
茉莉は花の名前で、ペルシャ産のジャスミンであるアラビアジャスミンのことです。茉莉は温暖な気候を好むため、中国西南地域では古くから茉莉が栽培されてきました。一般的なジャスミンと同じように、茉莉も香りが良く、人々に愛されてきました。女性が茉莉の花を首飾りにしたり、蒸して香水にすることが多かったようです。その香り高さから、茉莉の香水は「薔薇水(しょうびすい・バラの香水)」とも言われました。
一方で、茉莉の一種である紅茉莉(べにまつり)には、人を殺す毒があるとも言われています。これも、「美しい花にはトゲがある」と言われるバラと似ていて面白いです。
このように考えると、「茉」の漢字がグッと身近に感じられるでしょう。
「茉」の使用例
「茉」は、熟語や名前に用いられます。
熟語
「茉」は、上記の通り「茉莉」「茉莉花」などに用いられます。
また、「オシロイバナ」という花がありますが、これは一般的に「白粉花」と書くほか、「茉」を用いて「紫茉莉」とも書きます。もっとも、紫茉莉は「茉」の漢字を使っているものの、オシロイバナ科の花であり、モクセイ科のジャスミンとは全く異なります。
人名
「茉」は、名前に用いられることも多いです。特に女性の名前に使われます。本来の読み方である「マツ」ではなく、「ま」の音として充てられることが多く、「絵茉(えま)」「茉衣(まい)」のほか、「茉莉」と書いて「まり」と読む場合もあります。
良い画数の名前を付けるときに役立つことがあるため、覚えておくと良いでしょう。