木へんに冬と書く「柊」。何と読むかお判りでしょうか。誰でも知っている、ある木の名前です。本稿では、「あ、なるほど」と納得できる「柊」の成り立ち、使い方などを解説していきます。
柊(木へんに冬)の解説
まず、「柊」の基本情報は以下の通りです。
漢字 | 柊 |
---|---|
部首 | 木(きへん) |
音読み | シュウ |
訓読み | ひいらぎ |
「柊」は、「ひいらぎ」と読みます。葉がギザギザになっており、触るとチクチクするあの木です。最近ではあまり見られませんが、節分では鬼を追い払うために、豆のほかに「柊」を使う伝統があります。
さらに、「柊」 は材木としても用いられ、とりわけソロバンの玉に使われることで知られています。日本人にとって、非常に縁が深い木と言えるでしょう。
「柊」の成り立ち
「柊」という漢字は、「木」と「冬」から成り立ちます。植物ですから、木へんであることはごく普通ですが、なぜ「冬」がつくのでしょうか。「柊」は温暖な気候を好む性質があり、寒冷地ではあまり育ちません。寒い冬とは無縁にも思えます。これは、「柊」に使われている「冬(winter)」ではなく、「疼(トウ)」からきているためです。
「柊」と「疼」
「疼」は、痛みを意味する言葉です。特に、痛みの中でも「うずくまるような痛み」を意味し、「疼く(うずく)」「疼痛(とうつう。うずく痛み)」などと使います。このため、昔は戦争の際に矢で負傷した場合などに、「疼」によって痛みを表現していました。
木+疼=柊
さて、「柊」の葉は固く、ギザギザしており、触るとチクチク痛みます。この痛みは、矢による傷あとほどではありませんが、刺す痛み、疼く痛みです。したがって、木へんに疼く痛みを組み合わせて、「柊」と書くようになりました。
「柊」の使用例
「柊」の漢字は、四字熟語やことわざ、慣用句などには使われていません。しかし、一部の単語や人名に使われることがあります。
単語
「柊」を使った単語には、「柊楑(しゅうき)」があります。柊楑とは、固まった土を打ち砕く農具のことです。なじみのない農具かと思いますが、簡単に言えば木製のハンマーのことです。
人名
「柊」の漢字を使う場合、ほとんどは樹木としての「柊」を指して使うため、人名に使われる漢字ではマイナーです。しかし、音読みで「シュウ」と読むことから、「柊二(しゅうじ)」「柊一郎(しゅういちろう)」などと用いることがあります。