路に鳥と一文字で書く漢字「鷺」の読み方、使い方、意味等を解説!

路に鳥と一文字で書く漢字「鷺」

路の下に鳥と書くと「鷺」の漢字になります。

魚や鳥を部首とする漢字には読みや意味が難しいものが多く、「鷺」もそのひとつです。

本稿では、「鷺」の読み方や意味、漢詩での用例などを解説します。

「鷺」の基本情報

「鷺」の基本情報は以下の通りです。

漢字
部首 鳥(とり)
音読み
訓読み さぎ

「鷺」は形声文字であり、鳥類を意味する「鳥」と「路」の音から構成されます。

訓読み「さぎ」からわかる通り、「鷺」はサギ科の鳥を意味する漢字です。

サギは日本画のモチーフにもよく使われるほか、徳島県の県鳥がシラサギであるなど、日本人にとってなじみ深い鳥です。

「鷺」はシラサギ

サギといえばシラサギのイメージが強いものの、実際にはブルーグレーのアオサギ、紫みを帯びたムラサキサギ、黒っぽいクロサギなどがいます。

しかし、単に「鷺」と用いる場合、多くはシラサギを表しています。

白がある情景を「鷺」で詠む

漢詩などに登場する「鷺」も、特に青鷺・黒鷺といった用い方でなければシラサギを意味するものと考えて間違いありません。

漢詩には文字数や押韻などの制限があるため、一文字で複数の意味やイメージを持つ漢字をうまく組み合わせる必要があります。

「鷺」であれば、

・白鷺がたたずみ、白色がぽつぽつと見える情景が浮かぶ

・川辺に棲息する「鷺」を入れることで、臨場感が高まる

といった効果が期待できます。

唐詩選にも、「白」と「川辺」の情景を詠むために「鷺」を用いているものがあります。

常建(じょうけん)の『西山(せいざん)』という漢詩です。

この漢詩は、揚子江を舟で旅する常建が、日暮れ時の様子を詠んだものです。

日が暮れていき次第に「黒」に覆われていく中、いくつかの「白」を詠むことで黒と白を対比させ、コントラストが美しい作品です。

一身 軽舟(けいしゅう)と為る

落日 西山の際(きわ)

常に去帆(きょはん)の影に随(したが)い

遠く長天(ちょうてん)の勢いに接す

物象(ぶっしょう) 余清(よせい)に帰し

林巒(りんらん) 夕麗(せきれい)を分(わか)てり・・・①

亭亭(ていてい)として碧流(へきりゅう)暗く・・・②

日入りて孤霞(こか)継ぐ

洲渚(しゅうしょ) 遠く陰映(いんえい)し

湖雲(こうん) 尚(な)お明霽(めいせい)なり・・・③

林は昏(くら)くして楚色(そしょく)来り・・・④

岸は遠くして荊門(けいもん)閉ず

夜に至りて転(うた)た清迥(せいけい)

蕭蕭(しょうしょう)として北風厲(はげ)し

沙辺(さへん) 雁鷺(がんろ)泊し・・・⑤

宿処(しゅくしょ) 蒹葭(けんか)蔽う・・・⑥

円月(えんげつ) 前浦(ぜんぽ)に逗(とど)まり・・・⑦

孤琴(こきん) 又揺曵(ようえい)す

冷然として夜終に深く・・・⑧

白露(はくろ) 人の袂(たもと)を沾(うる)おす・・・⑨

序盤では、舟から見える大きな景色(山・空・林など)を詠んでいます。

①までは、辺りがだんだん夕やけ色に染まる情景です。

②で、揚子江の暗い青(ブルーブラック)を詠むことで黒いイメージを持ち出しており、

③では、日が暮れきってしまう直前の雲によって白のイメージを与えています。

やがて完全に日が暮れて、川辺の林は黒々として寂しい雰囲気が強くなり(④)、

川辺で眠りにつく雁と白鷺の姿がぼやっと浮かび上がります(⑤)。

鷺は遠く川辺にわずかに見える白であり、全体の情景としては暗く、目前には葦が黒々と生い茂っています(⑥)。

見上げれば白く光る月が輝き(⑦)、完全な真っ暗闇ではないものの、

どこからともなく琴の音が聞こえ、暗闇と夜は一層深くなり(⑧)、

最後には、月明かりに照らされて光る露だけがわずかに白を感じさせます(⑨)。

詩が進むにつれて黒が増していき、雲→鷺→白露というように、白がどんどん侵されていきます。

色の変化を意識して読むと、常建が目にした情景がありありと浮かび上がってくるような、見事な作品です。

まとめ

漢和辞典を引けば、「鷺」の読みや意味がすぐに分かります。

しかし、漢和辞典から学べる内容はそれくらいのもので、あまり味わいというものがありません。

常建の漢詩を読みながら「鷺」に触れることで、単なる「鷺」が漢字としてではなく「生き物」として感じられ、親しみを持つことができます。

生き物に関する漢字では、それを文字としてではなく生き物として感じられるような学びを心がけることで、漢字が無機質なものではなくなり、記憶にも残りやすくなります。

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