金へんに口と一文字で書く漢字「釦」の読み方、使い方、意味等を解説!

金へんに口と一文字で書く漢字「釦」

金へんに口をつけると、「釦」という漢字になります。漢字検定ならば準1級レベルの漢字ですから、すんなりと読める人はそれほど多くないはずです。

しかし、「釦」は皆さんもよく知っているモノを表しています。本稿で、「釦」の意味や読み、歴史などを勉強していきましょう。

「釦」の解説

まず、「釦」の基本情報を確認しましょう。

漢字
部首 金(かねへん)
音読み コウ ボタン
訓読み

ここで真っ先に目につくのが、「ボタン」の読みです。衣服のボタンは「釦」と書きます。

一般的には「ボタン」とカタカナ表記するため、「釦」の漢字を使うことはないかもしれませんが、元の意味や成り立ちを見てみると面白い漢字です。

「釦」の成り立ちと本来の意味

「釦」の漢字は、「金」と「口」から成り立っています。

「釦(コウ)」について、中国古典の『説文』には、

「金もて器口を飾る。金・口に従ふ。口は亦声(えきせい)なり」
とあります。つまり、「釦」の「口」は器のへり、「金」は金槌などの金属を指しており、「器のへりを金で叩いて(形を工夫して)飾る」の意味となります。

「釦」で「騒ぐ」の意味も

なお、「叩いて飾る」ことから、「釦」の「口」は「叩」の漢字から取ったものとする説もあります。

ここから派生したものと考えられますが、「釦(コウ)」には「金物を叩いて騒ぐ」という意味もあります。

この意味に派生したことを踏まえると、「釦」の「口」の由来を「叩」だとする説も、なかなか説得力があります。

「釦」と「ボタン」の豆知識

いまでこそ、「釦」は「(衣服などの)ボタン」を意味する漢字になっていますが、本来の意味は上記の通りです。「コウ」と読む「釦」には、衣服のボタンの意味はなかったのです。

「釦」が「(衣服などの)ボタン」の意味を持つようになったのは、ずっと後のことです。中国の歴史において、「器のへりを金で叩いて飾る」の意味が『説文』に記載されたのは後漢の時代、「ボタン」の意味が『正字通』に記載されたのは明の時代ですから、1000年以上も経ってから生まれた意味なのです。

『正字通』には、「釦」について

「俗に衣紐(いちゅう・ボタンに紐をかける衣服)をいふ」
とあります。

そもそも、ボタンはイスラム圏で生まれたもので、十字軍遠征などを通じて世界中に広がっていきました。十字軍遠征が始まったのは1100年頃ですから、ここから徐々にボタンが普及していったと考えられます。

『正字通』が成立した明朝は1368年から1598年まで栄えた王朝です。十字軍遠征の頃から、数百年の時間をかけて徐々にボタンが広がっていき、明朝の中国においても普及し、『正字通』で「釦」が「ボタン」の意味を持つようになったと考えられます。

ボタンは和製蘭語

なお、『正字通』の書かれた時代には、相変わらず「釦」を「コウ」と読んでボタンを意味していました。「ボタン」という読みは、ポルトガル語のbotāoを日本人が「ボタン」と読んだものであり、和式のポルトガル語、つまり南蛮渡来の和製蘭語なのです。

実際に、中国語でボタンは纽扣[Niǔkòu]といいます。纽[Niǔ]は紐(ひも)、扣[kòu]は紐をかけるところ、衣服などの合わせ留める部位の意味で、扣[kòu]が日本語における「ボタン」にあたります。 つまり、中国では今でも、「器のへりを金で叩いて飾る」の意味も、「ボタン」の意味も、どちらも「コウ」なのです。

このように、漢字を学ぶ際には読み・書きを覚えるだけでなく、歴史や言語などに押し広げて見ていくことが大切です。たった一文字の漢字が、調べれば調べるほど無限の広がりを見せ、大変に興味深く、面白く感じられ、また加速度的に知識をつけていくことができます。

「釦」の漢字から、このようなことも学んでいただければと思います。

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